●出産その1

お産の始まり

切迫早産と言われて安静にしていた割には予定日を経過しても何の兆しも無く
毎晩母と「いつ生まれるのかな」を合い言葉に就寝しては「また何も無さそうだね」と言う日々

X−DAY
いつも通り一日を終えて、後は寝るだけだった
寝る前にトイレにいって排尿をしてベッドの上に座って出産準備の本を読みながら寝ようかと
していたその時
さっき排尿したばかりなのになにやら暖かい液体が意思に反してどんどん出てくる
「・・・頻尿はしょっちゅうだったけれど、ついに尿漏れまでもか・・・」

「お母さん、なんか尿漏れしたから膀胱炎かも知れない・・・明日病院行ってくるわ」
それを聞いた母
「それって破水じゃないの?」
「ええ?そうなのかな?でもおしるしも来ていないし違うでしょう」と言っている間にまた尿が漏れた
トイレに行って確認すると血も少し付いている こ・・こ・・・これはおしるしなのかな
急いで緊急外来に電話をして事情を話す
「いやーたぶん尿漏れとは思うんですが・・・
違っていてもし他の緊急の方に迷惑をかけたらダメなので明日にでも来院します」
とまだ呑気な私
しかし病院側は「一刻も早く来てください」と意外な反応だった
眠っていた父を起こし病院に来るまで向かう道中も
「たぶん尿漏れだと思うからなにか悪いね こんな時間に起こしてさ」
と謝り続ける 尿漏れにこだわる自分が一番意味不明なのだが
(ここで密かな混乱が既に我が精神に起こっていた)
病院に到着 
車から降りる時腰に一瞬激痛が ん?これは?? ん??
陣痛ついにキターーーーーーーーーーーー?

入院病棟にて待機していた助産士さんが破水の有無を確認
「検査薬が一部反応しました 破水でしょう」(子宮口3cm)
その時はもう尿漏れだなんて信じていなかった
なぜならばさきほどから我がお腹で村祭りがにぎやかに行われていたからだ
「陣痛がどうやら到来しました」お天気を告げるアナウンサーのように
晴れ晴れと世間話などしつつ助産士さんと共にLDRへ
※LDRとは陣痛及び分娩を同室で行える部屋のこと