●出産その3
そういえば浣腸をしていなかった
そのせいかお腹に特大のブツがある気がする
「はい、いきんで!」のかけ声にまるでドラマで演じているようにいきんでみた「えいっ」
「胸だけでいきんでいる!お腹でしっかりいきみなさい!」
・・・それはもう排便行為に近いことをしろってことかな・・・
「うううううううっ」お腹でいきんでみた
これ以上はちょっと違うものが出ちゃうかも知れないから勘弁な
「もっとい・き・み・な・さ・い」
四方八方から数人に顔を叩かれて突如ぶち切れた
(ええいっ!そんなに見たいなら我が糞尿をしかと見るがよい
どうなっても知らん!(ある意味ハイテンション) )
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「わーーすごい巧い巧い巧い 一気に赤ちゃんが来た!」
賞賛されててへっと笑った
え
さっきから排泄物だと思っていたものは
赤ちゃんだったのか・・・ごめんよベイベー
そこで医師が遂に登場
「うーん これは切らないといけないかもね」
とうとう来た
会陰切開
あの「陣痛の痛みでいつ切られたのか全く気付かない」ことで有名な
会陰切開
「切っちゃってください」自ら進言
「よし切ります」
バチーン
「痛 い ー ー ー」
遂に禁句である言葉「痛い」を叫んでしまった
ありえないことが股においてing進行形
一気に気力が分散した
「あともうちょっとよ」
段々周りがぼやけて見える
いくらいきんでも3歩進んで3歩下がっているような感じで
「・・・ちょっと・・・意識が・・・もう・・・無理・・かも・・・」
「何言ってるの!頭出ていますよ!」
(なにー!それならそうと ふんがー)
「出た!」(出た!?出た!)
「わ!へその緒が巻き付いている」
(さきほど心拍が下がったのはへその緒がぐるぐると巻き付いていたかららしい
そんな危険な状態でがんばって出口に向かった娘を尊敬したい)
そこから胎盤の処置やら会陰の縫合やらまだまだ続くのですが
途中で赤ちゃんと初対面
この時の感情はもうこれ以外のどこでも味わったことが無い
10ヶ月共に過ごした娘との初めての会話
「こんにちは!はじめまして!」言葉にならなかった
自分の胸で泣きながらこっちを向いている娘の姿に胸が詰まりそうだ
この暖かい小さな命を一生大切にしよう
看護士さんに連れて行かれる娘を見送りながら
時計を見ると6時53分
(まだ朝だからおはようだよね・・・)そう呟いた
一方旦那は・・・
車でこちらに向かっていた
母から電話が入る
「もしもし、ただいま向かっていますので」
「もう産まれましたよ」
「え?」
これからもよろしくね
娘&旦那