●妊娠2ヶ月

週末、旦那とレストランにて食事をしていた
いつになく食欲旺盛でカキフライ定食を食べてご機嫌であった
食後にデザートも食べフルコース満喫
思えばこれが最後の(豊かな)(・・・豊かか?) 晩餐であった
生理が来ていないことをふと思い出し次の朝検査薬を試してみた
単なる通過儀式のつもりだった
思い当たることが無きにしもあらずではあったが、
10代から生理不順で思春期外来の門を叩いて通っており
20代では卵巣嚢腫も患い排卵の頻度について検査も受けており
お医者さんからは総じて「妊娠しにくいです」と太鼓判を押され続けてきた
尿をかけて数分経過 
呑気に構えていた
呑気過ぎた
確認作業のつもりで検査薬を見た
顔がにやけたまま
そしてトイレの壁を見た

・・・
今度は真顔で検査薬を見る
箱を見る
陽性の場合はこう反応しますと書かれた図から目が離せない
検査薬から手が離せない
ロボットのように首を振りつつ見比べる
アルキメデスが風呂からユウレカ!と叫んで飛んでいったが如く
右手はパンツをずり挙げながら
左手は検査薬を掲げながら
まだ寝ている旦那のもとへ走って行った
「おい!ちょっとちょっと」と揺さぶり起こし
まだ眠そうな旦那に検査薬を突きつけ「陽性出たよ」と言った
旦那は眠そうに目を擦り検査薬を確認し、一言「もちろん産むよね?」とだけ言った
落ち着いて着替えて電話帳で休日診療をしているところがないか調べる旦那
対して私は挙動不審に検査薬を掲げたまま部屋をうろうろし
「ちょっと待って!もしかしたら検査薬間違っているかも知れないから夜念のためもう一本調べてみるから」
と電話帳を取り上げた
旦那は苦笑いをした (注:これまで他の人が同じ状況に陥った時、「検査薬の精査度は95%くらいだから間違いないよ」
と冷静に言ってきた私の姿を知っているので 言っていることと行動とのギャップに笑うしかなかった)
病院には明日行くことにして体は冷やさないようにしつつ夜を待ってもう一度検査をした
やはり陽性である
そのままイカダに乗ってアメリカまで逃亡したい気分になった
現実に気持ちが追いつかなかった 
既に寝入ってしまった旦那の隣で心臓を高鳴らせたまま一睡もせずに次の朝病院に向かった

尿検査をし、妊娠していることを確認し、診察台にて超音波で検査をした
モニターの電源が入れられ機械を挿入すると黒い豆のようなものが写っていた
胎のうだ
その瞬間、前向きな感情でいっぱいになった
先生に「それで産みますよね?」とだけ尋ねられた
「はい」
(その時不謹慎にも「ドラマでよくある『妊娠○○ヶ月です おめでとうございます』っていう
あれ やってくれないかな? あ やってくれないのか・・・ 残念」と考えていた)
予約を入れてから病院を出た
帰宅途中、本屋に寄り「たまごクラブ」を買ってみた
人にぶつからないようまだふくらんでもいないお腹を手でかばいながら家に辿り着いた

仕事中の旦那に結果を知らせて
一眠りした

ひとときの平安
その晩から食欲が無くなった

つわり?